1 事案の概要


依頼者である会社社長は、取引先から自社の従業員が依頼者に秘密裡に「独立するからその後は自分と取引して欲しい」と言って回っているとの情報を得て、当該従業員に確認したところ、事実を認めた。

 

依頼者は、そのような従業員を自社においておくわけにはいかないと考えて、弁護士に相談した。

2 解決の経緯

 

弁護士は競業行為を画策していた従業員と話をし、法律的に違法行為になり得ることや会社への悪影響などを説明し、退職を促した。また、今後、依頼者の会社と競業する行為をされると困るので、競業をしない旨の誓約書への署名押印を促し、同書と退職届に署名押印をいただいた。

 

3 弁護士の目

 

 

営業担当者などがその地位を利用して会社の取引先を奪って独立するケースが少なくありません。本件はそれを未然に防ぐことができましたが、処理のやり方を間違うと逆に会社に損害が生じる危険性があります。

まず、従業員の競業行為(又は競業準備行為)が発覚しても、感情的になってすぐに解雇するようなことはしてはいけません。解雇が有効と認められる要件はかなり厳しいので、事案にもよりますが、一回的又は短期間の競業行為があったというだけで解雇が有効と認められる可能性は低いです。したがいまして、まずは、一緒に働けないことを企業人として説得的に説明し、任意に退職してもらうよう試みるべきです。

また、従業員は退職後、当然に競業避止義務を負うわけではないので、もし競業避止義務を課したいのであれば、競業をしない旨の誓約書を書いてもらうと良いでしょう。但し、競業避止義務は無制限に課せるものではなく、競業避止義務に関する判例・裁判例に精通した法律専門家でないと的確な誓約書を作成するのは困難です。
このようなケースでは、まずは弁護士に相談した方が良いでしょう。



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