企業損害・役員の責任に関するQ&A

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No. 質問
1 取締役などの役員が自らの任務を怠った場合、会社に生じた損害については全て賠償する責任を負うことになりますか?
2 会社の取締役になったのですが、取締役はどのような責任を負うのでしょうか?
3 会社に生じる損害とはどのようなものがあり、また、どのように認定されるのでしょうか。

 

質問① 取締役などの役員が自らの任務を怠った場合、会社に生じた損害については全て賠償する責任を負うことになりますか?

 

 

回答

役員は、自らの行為と相当因果関係がある損害しか責任を負いません。

 

質問② 会社の取締役になったのですが、取締役はどのような責任を負うのでしょうか?

回答と解説


1 取締役の責任
取締役は、自らの任務を怠ったことにより会社や第三者に損害を被らせた場合、会社や当該第三者に対して損害賠償責任を負うことがあります。

会社が被る損害は会社の規模が大きいほど大きくなりやすいので、会社の規模に比例して取締役が負う責任も重くなるといえるでしょう。

2 経営判断の原則
取締役等の責任は、「過失責任」といって、会社に損害が生じたからといって常に法的責任を負うわけではありません。

「経営判断の原則」という、経営判断には取締役等の広範な裁量が認められています。
①経営判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがない
②経営判断の過程・内容が著しく不合理でない

以上のような場合には、取締役等は責任を負いません。

言い換えれば、新たな事業に投資する際に市場の状況等を全く調査していない、収集した情報に照らして一般的な経営者であれば誰でも投資しないことを選択するような場面で投資を選択しているような場合でない限り、法的責任を問われる可能性は低いということです。
  
注意点としては、「法令・定款に違反する裁量はない。」ということです。

法令・定款に違反した経営判断を行い、その結果会社に損害が発生した場合には、法的責任を免れることはできません。
 

対策

まず、「法令・定款違反=任務懈怠」ということになりますから、自らの決定が法令・定款に適合するものかどうかの判断が難しい場合には、法律専門家に予め相談すると良いでしょう。
 
法令・定款に適合するとしても、後で無謀な投資であったとして責任を追及される可能性もありますので、大きな投資をする際には、予め取締役会で協議を重ねるなどして、事実認識の誤りや判断過程の誤りが発生しないようにするのが無難です。

そのほか、万が一に備えて、会社法上の責任限定契約を締結することや賠償保険に加入することも検討されます。
 

質問③ 会社に生じる損害とはどのようなものがあり、また、どのように認定されるのでしょうか。


回答と解説


1 【例:ある会社が個人情報の管理を外部に委託していたところ、委託先が個人情報を漏洩させてしまった場合】

原因究明のために物品販売のwebサイトを1週間停止したための1週間分の消失した利益
専門業者に原因究明の依頼をした費用
顧客からの問い合わせのためのコールセンターを設置した費用
原因究明の結果及び再発防止策を、漏洩された顧客に対して個別に通知すると共に、HPでも公表する費用
漏洩された顧客1万人に対して500円のクオカードを配布した場合の費用

以上①~⑤の損害費用を、裁判所は、相当因果関係のある会社の損害として認めました(勿論、あまり過大な対策費を支出したような場合には、一部、相当因果関係が否定される場合もありえます)。

一般論として、企業法務に関する主要な損害について、どのように損害が計算されているのか見ていきましょう。

2 損害
(1)人傷
   
【例:労働災害で従業員が負傷し、会社に安全配慮義務違反が認められた場合】 

会社は従業員に対して治療費、通院費、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、将来監護費用などを損害として支払うことになります。

各項目について詳細な説明はしませんが、診断書等から病状等を認定し、交通事故実務の計算方法によって損害を算定することになります。

(2)物的損害
  
【例:顧客に提供した物品等に瑕疵があり、顧客の物品を破損してしまったというような場合】

原則として、当該物品の修理費が損害賠償額となります(物品が滅失して修理できない場合には、時価や再調達費用が損害額となります)。

(3)営業損害
難しいのがこの営業損害です。
   
【例:提供した商品・サービスに不備があり、顧客が営業を停止させざるを得なかった場合】
   
たとえば1か月間営業停止した場合に、1か月分の売上額を損害として賠償しなければならないので
しょうか。

まず、債権者(損害を被った顧客)の方にも、損害の拡大を回避すべき義務があると考えられていますので、営業停止期間は、事案に応じて必要かつ相当と認められる期間に限られることになります。

また、損害として認められるのは売上ではなく「利益」です。 

営業停止している以上、一部の経費支出は免れているからです。 
この一部というのがポイントで、営業の有無に関わらず発生するコスト(固定経費)は損害として認められることになります。

実際の裁判では、項目ごとに固定経費なのか変動経費なのかが細かく争われることがあります。

(4)逸失利益
営業損害と似ています。

【例:取締役が会社の顧客を奪取して新規に競業取引を開始した場合】

当該奪取された顧客と取引が続いていたとすれば会社が得たであろう利益ということになります。
「利益」の考え方は、上記(3)と同じです。
 将来、当該取引先と永遠に取引が続くかどうかは不確実ですから、裁判所は、大体1~2年先分の利益までを損害として認めることが多いです。
 

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